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![]() 7月にTwitterで突然の再結成を発表し、11/3のshimokita round upで6年ぶりのライブを行う真空メロウの忌井三弦くんにインタビューをしてきました。再結成の経緯、「中途半端」というテーマ、ソロとしての最新作『kamiyoshine.ep』と震災との関係、今後についてなど、色々なことを話してくれています。まずは、じっくり読んでみてください。おかえり、真空メロウ! ―傍から見ると急な再結成に見えたんだけど、実際本人としてはいつ頃から再結成を考えてたの? 忌井:まあ、なんちゅうか…今年になったときとかはもう一回やるとか全然考えてなかった。けれども…流れで(笑)。でもひとたびやろうと思ったら、2人に聞く前から「やるな」って予感はあって。だから、実際に2人に会ったときもやるからやらないかの相談っていうんじゃなくて、「やろうね」っていうためだけに会ったっていうか。 ―その日はどんな雰囲気だったの? 忌井:みんな性格的にベラベラしゃべる感じでもないから、そんな話を誰も切り出さず、普通に共通の知り合いの近況などを語り、各々の近況を語り、で、終電が近づいてきたんで僕が二件目に引っ張っていって、「あの件なんですけど…」みたいな(笑)。 ―そこですんなり決まったんだ。 忌井:正直その頃僕頭おかしい感じやったと思う。神のお告げを受けたじゃないけど、第6感がスパークしてるような感じで。予知じゃないけど…普通に、このまま死んじゃ嫌だなって(笑)。 ―ソロ活動の継続は? 忌井:ソロでやることはもう全部やったって急に思っちゃった。何も成し遂げてはないけど…『kamiyoshine.ep』を作ったときに、あれホントにやったらあかんやり方で、やる前からできるってわかってて…頭おかしくなってるから(笑)。構成も歌詞も何もなく、赤いボタンぽちっと押して目をつぶってギター弾いて、パッと時計見て4~5分過ぎてたらやめて、それを聴きながら3~4回歌ったら、勝手に構成ができてるんだよね。やる前から全部わかってたっていうか…って、過去のことみたいにしゃべってるけど、今もそういう感覚(笑)。 ―バンド再開することもわかってたような感覚? 忌井:そう、今ちょうど来年のライブどうしようかと思っていろいろやってるんだけど、やっぱそんな上手くいかねえよなって思うこともあるけど、でも上手く、勝手にことが進んでたりもして…翻弄はされてるけど(笑)。 ―ずっと形にしたいって言ってた『天竺と馬脚』が形になったことも大きかった? 忌井:たまたまああいう形で録れたから(*『天竺と馬脚』は第3者が録音していたライブ音源がそのまま使われている)、まとめておこうってだけだったんだけど、あれ僕結構気に入ってて。 ―意図せずにできたものだからこそ、今の忌井くんにはしっくり来たのかもね。「やっぱこうなるんだな」っていう。 忌井:そうそう、「こうなっちゃった」って。そうなると、ギターぽろんぽろんいい曲とか、いい時間、いい空間を生むとか、そういうことに興味が持てないというか、もっとでかい爆発みたいなことじゃないと、僕の狭い世界で踏ん張るためには「音小せえ」っていう。「いい曲とか知らねえ」みたいな(笑)。 ―うーん、もうちょっと補足してくれない? 忌井:偶然の産物に捉われてその道を行くと、ホント廃人になるような気がして。外の対象物に対して踏ん張る、戦うでもいいけど、そのためには音小せえのやだなって。 ―つまりは『kamiyoshine.ep』を作っちゃったことが… 忌井:そうそう、あれホント、僕にはすごく…ショックでした(笑)。 ―「俺これ作っちゃったか…」っていう。 忌井:「俺が死ねか」って(笑)。それは笑えんかったね。でも、そう思いながらも、それを俯瞰してる自分もいて、「『kamiyoshine.ep』、かっこええやん」って思ってもいるから…厄介(笑)。その俯瞰する自分がおらんかったらホンマに廃人コースやけど、かといって…中途半端っていうのがテーマなんですけど。 ―ん?どういうこと? 忌井:病めもせず、かといって楽しめもせずっていうか…きっとそういう人がたくさんおるはずやと思ってて、そういう人たちの世界っていうのが、本とか映画とかから零れ落ちてて、誰も掬い取ってあげられてないような危惧みたいなものを感じていて。例えば、「北の国から」とかめっちゃ暗いんだよね。あと向田邦子とか、人間の影みたいな。今も暗い映画とか本は多いけど、それってただのシチュエーションっていうか、即効的なやつで。見てる側の多数もそれを見つめる集中力とか忍耐力がなくなってきてて、即効性のあるものじゃないと反応できない。黒澤明とかでも、面白いやつはエンタテイメントだけど、暗いやつホント暗いからね。 ―黒と白で割り切れない、グレイの部分、それもちょっと影の濃いあたりを描くってことだ。 忌井:そうそう、そこはグラデーションがあるはずで、そういう意味での中途半端。今はホント黒か白じゃないとみんな反応できなくて、作る方も悪いと思うけど、受け取る方も…でもそれってよりきついことだと思ってて。白黒はっきりしてる人見ると、すげえきついんだろうなって、逆に見てて怖いことがある。 ―6年前に解散を決めたときっていうのは、そのバランスが上手く取れなくなってたってことなのかな? 忌井:いや、今話したレベルからいくと、それは関係ない。普通にあのときは自分がやってる音楽が全然かっこいいと思えなくて、これからこのバンドでかっこいい音楽ができるとも思えないっていう、一般的なやつだった。あの頃からすると、ホントまた今みたいな感じになるなんて想像してなくて、どんどん丸くなって、錆びていくって思ってたから、そこに嘘ついてやるほどバンドも音楽も好きじゃないし、そしたら「もうやめよう」って。だって、今井三弦になったときの最初の“はじまりの音”とか、すっげえぬるいぜ(笑)。あそこから『kamiyoshine.ep』に行くからね(笑)。 ―6年間ソロで自分と向き合った結果、また戻ってきたわけだ。 忌井:いや、そもそも自分と向き合ってやるのが音楽って思ってなくて、生きてるのにくっついてるもんだから。イボじゃないけど(笑)。 ―でも、少なくとも一度はバンドに対して「違う」って思ったわけじゃん?それがまた「やろう」ってなったのは、ソロ活動をやってきたからこそなんじゃない? 忌井:ソロでやってたって言っても、ほとんどライブもやってないし、ギターもあんまり触ってないし…サムシングやから、音楽は。でもまあ…この話はあれやけど、やっぱ地震がね、自分では上手く反応できなくて、よくわかんないつもりでいたけど、振り返れば明らかに何かが変わってしまったっていう。みんなそうかもしれないし、そうゆう風に話しちゃうとつまんないけど… ―まあ、地震のことは聞こうと思ってたけどね。再結成に直接的に結びつかなくても、思うところは何かしらあっただろうから。 忌井:おかしくなっちゃったんだよね(笑)。直後とか全然普通で、冷たい気持ちでいただけなんだけど、でも、ボディーブローのように、5月くらいから怪しくなってきて。 ―それが『kamiyoshine.ep』につながっていくと。 忌井:やっぱ日本にはおらんのやなって思って、「死ね」っていう対象としての神が。キリスト教圏だったら、何かあったら神が出てくる。戦争でも、災害でも、「God bless you」って、便利屋みたいに。そうゆう便利屋を日本は持ってないんだなっていうか、日本はある意味生真面目だし、正直だよね。首相が東電行ってブチ切れるとかさ、アメリカとかだったら、外面は涼しく、便利屋使ってしのぐ、国民もそれを持ってるから、酔える。神に慰められるっていう…僕のすごい偏ったものの見方だけど(笑)。 ―スケープゴートって絶対悪のように思われがちだけど、それも使いようじゃんっていう。 忌井:いい悪いじゃなくて、客観的に違いがあるってだけなんだけど、僕が何を思ったかっていったら…今こそ神の出番やって(笑)。全く非行動派の、「あいつのせいにしようぜ」っていう。すごいみんな、あの瞬間リアリストになったでしょ? ―ボランティアでも節電でも、程度の差はあれども、「自分には何ができるか?」っていう方向に考えたよね。 忌井:素晴らしいことだよね。でも、そこに心が動かなかった。自分ほど冷たい人間はいないんじゃないかって。 ―でもそれもやっぱり程度の差こそあれ、多くの人が思ったことのひとつだと思う。僕もそう思った一人だし。 忌井:それで「ケッ」って言えるんだったらまだ救いがあんねん。ポップさがある。「バカが」って言えれば。 ―でも、「あっちの方が正しいと思いつつ、できてない俺」ってなっちゃう。 忌井:そうそう、定番だけど、ガッツリえぐられるよね(笑)。 ―とにかく、そういう人は間違いなくいっぱいいたよ。 忌井:それ、戻ったでしょ?そこがテーマなんです。中途半端。 ―なるほどね。結構話が遠くまで来ちゃったから、今話してもらったことを改めて再結成の話に寄せようか。 忌井:だから、普通に追い詰められたよね。「バンドやらな」って。結局バンドやってソロやってバンドもう一回やるっていうことに自分の意志とかはあんまりなくて、大きな流れがあってそれに委ねてるだけ(笑)。自分でそこで「ああ、そうなんや」って気づくっていうのが面白い。 ―切り替えるんじゃなくて、延長線上? 忌井:うん、全部つながってる。予感がして、そうなるっていう(笑)。「こうしたい、ああしたい」とかは全然ない。 ―じゃあ、実際には11/3のshimokita round upが再結成ライブになるわけだけど、曲とかってどうなるの?SoundCloudには既発曲(“花まみれ”)と新曲のデモ(“まるい星”)があがってるけど。 忌井:round upは昔の曲中心。昔の曲は若いときに作ってるけど、今とずれるどころか…そこを極太ペンでなぞるような(笑)。普通はそのとき作った曲と今の気分は違うから歌えないとかあるかもしれないけど、あのときは背伸びでやってたことが、ホンマにそうやんけっていう(笑)。 ―今の自分にがっちりフィットしちゃってるんだ。 忌井:そう、だから全部とは言わんけど、一つの歌詞であったりとか、入り込む気持ちはより強くなっちゃってて。昔聴いて「はいはい」って思った人もおるかもしれんけど、ぜひ今見てほしいね。若いときはポーズの部分が多分にあったろうけど、それがもうポーズじゃなくなっちゃったっていう(笑)。 ―新曲とかってどうなりそうなの? 忌井:昔みたいな曲はもう作れんし、作りたい曲は他にあるし、実際僕全然…怠け者だけは超一流で(笑)。 ―バンド始めたからすげえギター弾いてるってわけでもない? 忌井:ないけど、その代わり、触れば曲は何曲でもできる。 ―ソロでやってた曲をバンドでやるとかは? 忌井:それはない。バンドならバンドで、ソロならソロでできること、ノー・チョイス。バンドのメンバー変わったら僕作る曲絶対変わるもん。 ―昔からよく言ってるよね、周りに影響されやすいって。 忌井:そうそう、このメンバーでやるんやったらこうかなって、だから曲はなんぼでもできる…って強がっとかな(笑)。 ―単純に、昔と比べてどうなりそうとかってある? 忌井:まあでも、歌よね。歌の比重は大きくしたいなって。あの…すごいネガティヴ・キャンペーンになっちゃうけど、さっきから音楽好きじゃないって言ってるのはなんでかっていうと、3人ともセンスで音楽やるタイプでは全然ないのね。センスがあれば方向性も定まってくるかもしれないけど、センスがないっていうセンス…甘えか(笑)。 ―センスって一言で言っても難しいよね。僕から見れば忌井くんセンスあると思うけど。 忌井:僕の中のセンスはアナログフィッシュ。あと、andymoriとか。 ―うーん、わかるようなわからんような。 忌井:センスがないっていう自覚は、要するに…カニなんよ。 ―ごめん、わかんない(笑)。 忌井:サービストークのようでホントのこと言ってるけど、カニなんよ。骨がないのよ、でも強がるっちゅうか、外は殻っていう。センスある人はナイフとかで切ったら血がビュッてなるけど、カニは殻がピシってなるだけ。身は詰まってるけど…だから、タコとかイカじゃない。タコとかイカほどのんべんだらりんとした気持じゃいられないっていうか… ―太い骨とか濃い血はないけど、それまで蓄えた身は詰まっていて、そこで勝負するってことかな? 忌井:その悲しさだよね。それを硬い殻で包んでる悲しさ。骨もないのに、血も流れてないのに。でも、それが音楽のすごいとこだなって意味で、僕は音楽が大好き。「なんて音楽って懐深いんだろう」って(笑)。 ―スポーツだったら骨も血もないやつは相手にしてもらえないもんね。 忌井:そうだよ、そこでも鳴る音楽。どんだけ懐深いっちゅうか、「なんで鳴るんだろう?」っていう。 ―カニなのに(笑)。 忌井:(ソロになって)その殻もなくなっちゃって、「寒い寒い」ってなって、殻を被った。 ―それヤドカリじゃない? 忌井:ヤドカリやったらそれはルーティンやん? ―ああ、そっか。カニが殻をなくしちゃうのは大ごとだね。 忌井:それぐらいおかしかったんだって(笑)。元々一人預言者気分でいる中で、自分が崩れていく予感するなって思ったら…人間ってそういうもんだからね。一瞬で…さみしい人はいっぱいいると思う。 ―じゃあ、バンド始めて少し落ち着いた? 忌井:今は別のやばさよね。 ―躁的なこと? 忌井:そうそう、ブレーキかけないけんなって思いながらも、でもこの躁を止めたら面白くないなって、上から声が聴こえてて(笑)。 ―客観視してる自分が(笑)。 忌井:それがいいことなのか悪いことなのかわかんないけど。 ―でも、一人で続けるよりは良かったんじゃない? 忌井:一個言いたいのは、一人でやってるって言うけど、やってないからね(笑)。客観的には一人でやってたってことになってるけど、別に…鳴ってるだけで。ホンマなんか…意志薄弱よ(笑)。 ―このインタビューが復帰第一声なのに(笑)。 忌井:いや、でも平たく言うと運命とかになっちゃうけど、もっと委ねちゃえば面白いのになってこと。自分で切り開く面白さもあると思うけど、僕は流れるプールで、同じところをぐるぐる回りながら…沈んでいく(笑)。 ―まあでもさ、最初にTwitterで再結成するって呟いたときに結構なリアクションあったわけじゃん?ああゆうの見ると思うところはあったんじゃない? 忌井:完全に勘違いするよね。「人気あるやん」って。ないのに(笑)。だって6年だよ?そんな上手い話ないのに。 ―もちろんTwitterっていう場所はちょっと特殊だけど、でもそれだけ思い入れがある人がいっぱいいるってことは事実だと思うよ。 忌井:少数精鋭かわからんけど…すごい嬉しい。無難に(笑)。 ―オッケー。じゃあ、最後にそんな少数精鋭のみなさんに向ける意味でも、復帰第一声の締めをお願いしようかな。 忌井:なんちゅうか…一回解散したバンドなので…二度は死ねないんで、ゾンビの気分で…でも死は待ってて、そこでどうゆう歩き方ができるかなっていうのを、少ない人たちかもわからんけど、見てほしいなって思ってます。 ―…形式的に振ると途端に硬くなるよね(笑)。 忌井:だって俺…策士やもん(笑)。 2011/10/19 下北沢・風知空知にて *並びはリリース順です
BREMEN/SKIN オオルタイチ/Cosmic Coco, Singing for a Billion Imu's Hearty Pi cero/WORLD RECORD folk enough/DISCO TAPE 踊ってばかりの国/SEBULBA モーモールルギャバン/BeVeci Calopueno 砂原良徳/liminal salyu×salyu/s(o)un(d)beams serph/Heartstrings The SALOVERS/バンドを始めた頃 オワリカラ/イギー・ポップと賛美歌 YOMOYA/Yawn mito/DAWNS andymori/革命 スクイズメン/EMERALDRUM 昨年のandymoriのような聴いてすぐ「今年はこれかな?」という出会いは今のところなし。The SALOVERSがそれに近かったけど、まだライブ見れてないので保留にしておきます。 今年の上半期で印象に残ったのは、いよいよ近年好調のUSインディからの波及効果がここ日本でも無視できなくなったということですね。シグナレス、killing boy、アナとチルウェイヴの話をし、MONOBRIGHT、Czecho No Republic、NOKIES!からトロピカルな風を感じ、Lillies and RemainsやCurly Giraffeとはアリエル・ピンクの話題で盛り上がりました。下半期にますますこの傾向が強くなることは間違いないでしょう。そして、日本のロック・シーンにおける上半期最大の話題のひとつ、5人組となったくるりが「チェンバー・ポップ」を掲げていることから、ceroとかがもっと注目されるかもしれませんね。 あと、上半期に知って個人的にいい話だなーと思ったのが、andymoriの小山田君と、踊ってばかりの国の下津君、あとThe SALOVERSの古館君が、みんなリバティーンズが好きってこと。ね、なんかいい話でしょ? あとは911の2001年以来となるアルバムを発表したら、今度は311が起こってしまったまりんさんに何らかの業を感じざるを得ないなって思ったり、声を大にして言わざるを得ない「SAVE THE 洋楽!」の空気をひしひしと感じたりした、そんな2011年の上半期でした。 大変ざっくりですが、まだ一年も半分ですのでこんなところで。 さて下半期はどうなることやら? 以下の文章は、今から4年前の2007年7月、当時僕がやっていたホームページでSNOOZER10周年のタイミングに書いたものです。ひさびさに読み返してみて、なんか最終号とシンクロする部分もあったし、面白かったんでアップしてみます。内容は稚拙っちゃあ稚拙だし、せっかくだからデータを更新して、現在のバージョンを書くべきかなとも思ったけど、そのままの方が「この人SNOOZER好きなんだなー」って勢いがあっていいかなって思ったんで、そのまま載せときます。あと、終わった雑誌なんかに時間を取られるほどこちとら暇じゃねーし、みたいな。まあ、読んでもらえればわかるとおり、ティムとの約束が果たせなかったことだけが残念なので、雑誌の名称が変わっても、彼らがカヴァーを飾れるように、とりあえずディスクガイド買おうと思います。ハレルヤ!
![]() ![]() 僕は『SNOOZER』という音楽雑誌が好きで、その編集長である田中宗一郎さんからは結構影響を受けています。とはいえ“『SNOOZER』好きでしょ?”とか聞かれると、“まあ好きっちゃあ好きだけど、でも僕THE WHOとかLA’Sとかそこまで好きじゃないし”みたいな答え方をしてきました。“信者とかじゃないから!”って。でも、もういいや。僕『SNOOZER』好きです。だってさあ10周年記念号の表紙がASHなんだもん。それを知った時はホントうれしかった。どーせRADIOHEADなんじゃねえの?とか思ったりもしました。でもさすがに潜伏期間で契約もないバンドをいきなり表紙にはしないだろうし、タイミング的にはくるりもありだったけど、もはや新作を出せば数々の雑誌で表紙を飾ってしまうバンド、天邪鬼な『SNOOZER』としてはそこは避けたいところでしょう。となれば『SNOOZER』的には念願のASHというわけだ。でもね、要はこのASH表紙っていうのは、“俺たち、10年間色々あったけど、今でも何とかやってるよな”っていうお互いの友情の、尊敬の、歴史の確認なわけですよ。それがもうたまらないじゃん。インタビューでも話しているように、ASHは創刊号にもインタビューが載っていて、そこではこんな話をしてる。 ●ねぇ、じゃあさ、この3人で、あと10年、20年顔を突き合わせていくんだっていうことは想像できる? ティム「20年はないと思うな(笑)」 リック「まあ、10年ってとこじゃない?(笑)」 そして最新号のティムのインタビューの終わりはこう。 ●10年後も、またアルバムのインタヴューが出来るかな?(笑)。 「ああ、勿論。絶対にそうしなきゃ(笑)。でも20周年号で出来たら、すごいよね!そしたら、また僕らがカヴァーを飾るからさ(笑)」 全く微笑ましいし、でもなんか泣けてくるよね。ま、そうは言っても、実際最新号はくるりの号かな。アルバム自体の出来もそうだし、とにかくインタビューが抜群に面白い。で、タナソウさん絶賛してんのに、DISC REVIEWのページでは小野島さんやら野田さんやらが“べつに”みたいなことをそれぞれの視点で書いてるのも面白い。うん、合評なのにみんな絶賛、みたいのよりこの方が遥かに現実的だもん。でもそれでもASH表紙ってのがやっぱり泣けるんだけどね。というわけで、10周年を迎えた日本音楽雑誌界の異端児にして最高峰、『SNOOZER』の10年を個人的な思い出と共に振り返ります。 『SNOOZER』が創刊されたのは1997年。当時僕は高校3年生で、J-POP~ハードロックを卒業し、UKロックやらUSインディやらに手を出すようになった頃。とはいえまだまだ洋楽ビギナーだった僕は、『SNOOZER』の創刊号と本屋で出逢っても、田中宗一郎という元ロッキング・オンの人が遂に創刊した新雑誌、みたいな知識は全くなくて、ただただ表紙のトム・ヨークをはじめ、BECK、WEEZER、ASH、BLUR、THAT DOGといった名前に“わ、僕が好きなバンドがいっぱい載ってる!”と思って手に取ったのでした。それが気付けば10年も読んでるんだもんなー。すごいや。 ではまずこの10年間の表紙を複数回飾っているミュージシャンをランキングしてみましょう。 1 RADIOHEAD(THOM YORKE) 10 2 くるり 4 3 FATBOY SLIM 3 PRIMAL SCREAM THE VINES 4 OASIS 2 BERNERD BUTLER BEASTIE BOYS 中村一義 UNDERWORLD SUPER FURRY ANIMALS U2 ARCTIC MONKEYS うーん、非常にわかりやすく色が出てますね。SFAやバーニーが2回、ヴァインズが3回表紙を飾ってるってすごいな。あと印象的な表紙といえばグレアム(1998.8)、石野卓球(1999.6)、Richard D James(2001.10)、SUPERCAR(2005.4)、THE LA’S(2005.8)なんかが思い浮かびますね。あとt.A.T.u.(2003.4)とか。最近ではKLAXONS(2007.2)が大抜擢でしたね。“編集部がいいと思うミュージシャンだから表紙にする”というあまりに当たり前のことが、意外とできない音楽雑誌業界。このセレクトはそれだけで尊敬に値します。ま、ただなんと言ってもRADIOHEAD10回ってのがインパクト大。一時期“OASISの『rockin’on』、RADIOHEADの『SNOOZER』、BECKの『CROSS BEAT』”みたいなイメージありましたよね。今はレッチリの『CROSS BEAT』かな?まあタナソウさんだったら“OASISもBECKも俺の方がよくわかってる”とか言いそうだけど。で、この10回の表紙の半分、5回は2000年から2001年、つまりは『KID A』と『AMNESIAC』をリリースした時期で、2000年6月から2001年12月までの1年半、10冊中5冊が表紙RADIOHEADなわけ。やりすぎだよ。 またこの時期っていうのはSNOOZERが最も政治的で、最もアグレッシヴだった時期でもあって、“ドラッグと反アメリカ”(2000.4/表紙:PRIMAL SCREAM)を皮切りに、“ジュビリー2000”(2000.6/表紙:THOM YORKE)、“反ロック、反セレブりティ”(2000.12/表紙:FATBOY SLIM)、“WAR IS NOT THE ANSWER”(2001.12/表紙:RADIOHEAD)なんて特集が次々と組まれた時期でした。音楽雑誌でありながらこういった話題を大きく取り上げるのは、日本ではなかったし、未だにないと言ってもいいかもしれませんね。その他印象的な特集といえば“PUNK TO FUNK”(1999.12/表紙:BECK)、“98年の世代”(2002.4/表紙:くるり)、“ROCKN’ROLL ISSUE”(2002.6/表紙:PRIMAL SCREAM)、“iPodで音楽は変わるか?”(2003.12/表紙:V.A.)なんかが挙げられます。あとはオーディナリーズのブレストン、ジャムのポール・ウェラー、フーのピート・タウンゼントを並べた“SPIRIT OF 1979”(2004.8)、くるり表紙の“僕らがイギリスに恋する理由”(2006.2)なんかからはタナソウさんのモッズ魂が感じられるというものです。 それでは続いてこの10年間の年間ベストアルバムTOP3を振り返ってみましょう。 1997 1 RADIOHEAD/OK COMPUTER 2 中村一義/金字塔 3 SUPER FURRY ANIMALS/RADIATOR 1998 1 ELLIOTT SMITH/XO 2 FATBOY SLIM/YOU’VE COME A LONG WAY BABY! 3 R.E.M./UP 1999 1 SUPER FURRY ANIMALS/Guerilla 2 CIBO MATTO/STEREOTYPE A 3 七尾旅人/雨に撃たえば…disc2 2000 1 FUMIYA TANAKA/UNKNOWN POSSIBILITY vol.2 2 GREEN DAY/WARNING 3 MOODYMAN/FOREVERNEVERMORE 2001 1 SUPER FURRY ANIMALS/RINGS AROUND THE WORLD 2 R.E.M./Reveal 3 Slipknot/IOWA 2002 1 BECK/SEA CHANGE 2 BRIGHT EYES Lifted Or The Story Is In The Soil, Keep Your Ear To The Ground 3 THE CORAL/THE CORAL 2003 1 OUTKAST/SPEAKERBOXXX/THE LOVE BELOW 2 THE RAPTURE/ECHOES 3 THE WHITE STRIPES/ELEPHANT 2004 1 THE LIBERTINES/THE LIBERTINES 2 THE STREETS/A GRAND DON’T COME FOR FREE 3 SQUAREPUSHER/ULTRAVISITOR 2005 1 HARD-Fi/STARS OF CCTV 2 SUFJAN STEVENS/ILLINOIS 3 JUNIOR SENIOR/HEY HEY MY MY YO YO 2006 1 ARCTIC MONKEYS WHATEVER PEOPLE SAY I AM,THAT’S WHAT I’M NOT 2 BOB DYLAN/MODERN TIMES 3 KEIICHI SOKABE/LOVE CITY これまた濃い、そして主張を感じるラインナップですね。唯一2度1位に輝いているのがファーリーズ(通算3回登場)。あと複数回登場しているのは、2回のR.E.M.だけですね。ここ3年はUKの新人バンドが続けて1位を獲得しているというのも、近年のムードを反映していると言ってもいいかもしれません。 カルチャーとしての音楽という視点があること、ディスクガイド的な記事の充実、基本ロック雑誌でありながらダンスミュージックもしっかり押さえていること、ライターの質、デザインのよさなどなど、僕が『SNOOZER』を読み続けている理由はいくらでもあるけど、まあ最終的には田中宗一郎という人の魅力が何よりなんでしょうね。結局『SNOOZER』という雑誌は田中宗一郎という人の物語であって、それに乗れる人はいつまでもついていけるし、ダメな人はダメなのかも。でもその筆圧の高さといい、音楽的知識の豊富さといい、時に結構無理やりなトコなんかも含めて日本の音楽ライターとしてはアタマ一つ抜けてると客観的にも思うんだけどな。やっぱ『SNOOZER』の何が読みたいかって、田中宗一郎の文章とインタビューが読みたいんだもん。それで個人的にもASH、くるり、SUPER FURRY ANIMALS、モーサムなんかはもちろん、バーニーやIDLEWILD、MODEST MOUSEなんかもしっかりフォローしてくれるのは、やっぱり信用できるなーと思っちゃうんですよ。さすが、わかってんじゃん!って何度思ったことか。僕サブカル人しか読まないような音楽雑誌もやっぱりダメで、その点『SNOOZER』って難解になりすぎることなく、多少挑戦的に、時にメランコリックに、ユーモアとロマンをもって、しっかり音楽を語ってるし、しっかり社会を語ってるし、しっかり人を語ってるから好きだ。 最後、オチ。『SNOOZER』の10年といえば、発売日との格闘の10年である。まあそれに関しちゃ、完全に負け越しなんだけど。次の10年は勝ち越し目指して頑張ってね。 ![]() アーケイド・ファイアの最優秀アルバム賞受賞は流石に驚きました。レディ・ガガやケイティ・ペリーといったポップ・アクトを抑えての受賞は、カリスマ不在のロック・シーンに光明を与えるように思います。いや、アーケイド・ファイアがカリスマであるということがむしろ「カリスマ不在」を象徴してるのか…むにゃむにゃむにゃ。まあ、そういったことを論じるのはひとまず置いておいて、ここではアーケイド・ファイアのグラミー受賞がロック・シーンから見れば妥当だったということを、昨年の主要音楽メディアのベスト・アルバム企画から証明しておこうという話です。取り上げるのはUKから「NME」「Q」「UNCUT」「MOJO」、USから「ROLLING STONE」、「SPIN」、「BILLBOARD」、「PITCHFOLK」の計8メディアです。まずは各トップ10をずらっと並べてみましょう。 NME(UK) 1. These New Puritans - Hidden 2. Arcade Fire - The Suburbs 3. Beach House - Teen Dream 4. LCD Soundsystem - This Is Happening 5. Laura Marling - I Speak Because I Can 6. Foals - Total Life Forever 7. Zola Jesus - Stridulum II 8. Salem - King Night 9. Liars - Sisterworld 10. The Drums - The Drums Q Magazine(UK) 1. Arcade Fire - The Suburbs 2. Robert Plant - Band of Joy 3. Plan B - The Defamation of Strickland Banks 4. Laura Marling - I Speak Because I Can 5. Vampire Weekend - Contra 6. John Grant - Queen of Denmark 7. Gorillaz - Plastic Beach 8. The National - High Violet 9. Paul Weller - Wake Up the Nation 10. MGMT – Congratulations UNCUT(UK) 1. JOANNA NEWSOM 「Have One On Me」 2. NEIL YOUNG 「Le Noise」 3. PAUL WELLER 「Wake Up The Nation」 4. ARCADE FIRE 「The Suburbs」 5. ROBERT PLANT 「Band Of Joy」 6. ARIEL PINK'S HAUNTED GRAFFITI 「Before Today」 7. JOHN GRANT 「Queen Of Denmark」 8. ALI FARKA TOURE & TOUMANI DIABATE 「Ali&Toumani」 9. LCD SOUNDSYSTEM 「This Is Happening」 10. GRINDERMAN「Grinderman 2」 MOJO(UK) 1 John Grant - Queen of Denmark 2 Arcade Fire - The Suburbs 3 MGMT - Congratulations 4 Edwyn Collins - Losing Sleep 5 The Black Keys - Brothers 6 Paul Weller - Wakes Up The Nation 7 Midlake - The Courage of Others 8 Phosphorescent - Here's To Taking It Easy 9 The Coral - Butterfly House 10 Doug Paisley - Constant Companion Rolling Stone(US) 1. Kanye West, 『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』 2. The Black Keys, 『Brothers』 3. Elton John and Leon Russell, 『The Union』 4. Arcade Fire, 『The Suburbs』 5. Jamey Johnson, 『The Guitar Song』 6. Vampire Weekend, 『Contra』 7. Drake, 『Thank Me Late』 8. Robert Plant, 『Band of Joy』 9. Eminem, 『Recovery』 10. LCD Soundsystem, 『This Is Happening』 SPIN(US) 01 Kanye West- 『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』 02 Deerhunter – 『Halcyon Digest』 03 Arcade Fire – 『The Suburbs』 04 LCD Soundsystem – 『This Is Happening』 05 Jamey Johnson – 『The Guitar Song』 06 Janelle Monae – 『The Archandroid』 07 Grinderman – 『Grinderman 2』 08 M.I.A. – 『Maya』 09 Kid Cudi – 『Man On The Moon II: The Legend Of Mr. Rager』 10 Robyn – 『Body Talk Pt. 1』 Billboard(US) 01 Kanye West『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』 02 Arcade Fire『The Suburbs』 03 Robyn『Body Talk Pt. 1』 04 Mumford & Sons『Sigh No More』 05 Beach House『Teen Dream』 06 LCD Soundsystem『This Is Happening』 07 Drake『Thank Me Late』 08 MGMT『Congratulations』 09 Rick Ross『Teflon Don』 10 Big Boi『Sir Lucious Left Foot: The Son of Chico Dusty』 Pitchfork(US) 01 Kanye West – 『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』 02 LCD Soundsystem – 『This Is Happening』 03 Deerhunter – 『Halcyon Digest』 04 Big Boi – 『Sir Lucious Left Foot: The Son of Chico Dusty』 05 Beach House – 『Teen Dream』 06 Vampire Weekend – 『Contra』 07 Joanna Newsom – 『Have One on Me』 08 James Blake – 『The Bells Sketch EP / CMYK EP / Klavierwerke EP』 09 Ariel Pink’s Haunted Graffiti – 『Before Today』 10 Titus Andronicus – 『The Monitor』 そして、各メディアのベスト10に1位10点~10位1点で点数をつけた総合ランキングがこちら!*( )の中はランクインしている雑誌数 1 ARCADE FIRE 59(7) 2 KANYE WEST 40(4) 3 LCD SOUNDSYSTEM 31(6) 4 BEACH HOUSE 20(3) 5 JOHN GRANT 19(3) 6 ROBERT PLANT 18(3) 7 DEERHUNTER 17(2) 8 VAMPIRE WEEKEND 16(3) 9 PAUL WELLER 15(3) 10 THE BLACK KEYS 15(2) というわけで、8メディア中7つでランクインしたアーケイド・ファイアが納得の第一位!よってグラミー獲得も妥当!ということにしときましょう。ちなみに唯一ベスト10から外してるのが、ピッチフォーク。この辺はある意味流石というとこでしょうか。ベスト・オルタナティヴ賞に選ばれたブラック・キーズもしっかり10位に入っております。 他に目立つとこで言うとやはりカニエですね。なんとUSのメディア全てで1位で、UKでのランクインはなし。いかにUSのロック・メディアで評価されたかがわかります。UKのメディアでポール・ウェラー兄貴と並んで評価されたジョン・グラントはUSのシンガー・ソングライターで、ミッドレイクとの共作が高く評価されました。 ちなみにアーケイド・ファイアは同じようなことをやった2007年のランキングでも、グラミーに新作の発表をぶつけてきたパンクなレディオヘッドに次いで2位を獲得しております。 http://www.fides.dti.ne.jp/~atsutake/BEST2007mag.htm というわけで、自分の洋楽ベストがあっさりしてたことの補足という意味も込めて、このようなランキングをお届けしてみました。改めて、アーケイド・ファイアおめでとう! そして、TAKもおめでとう! YOU ARE MY HERO! (↑これ、めっちゃ個人的な流行語になりそうな気がしてます) ![]() 1 andymori / ファンファーレと熱狂 2 世武裕子 / リリー 3 the brixton academy / Vivid 4 長谷川健一 / 震える牙、震える水 5 トクマルシューゴ / Port Entropy 6 QUATTRO / Where is the coconuts...Ha? 7 the HANGOVERS / the portable terminus 8 オワリカラ / ドアたち 9 People In The Box / Family Record 10 VELTPUNCH / BLACK ALBUM 11 あふりらんぽ / WE ARE UCHU NO KO 12 くるり / 言葉にならない、笑顔を見せてくれよ 13 やけのはら / THIS NIGHT IS STILL YOUNG 14 THE BAWDIES / THERE'S NO TURNING BACK 15 七尾旅人 / billion voices 16 clammbon / 2010 17 THE MIRRAZ / TOP OF THE FUCK'N WORLD 18 イルリメ / 360°SOUND 19 THE SUZAN / GOLDEN WEEK FOR THE POCO POCO BEAT 20 秀吉 / むだい 21 OGRE YOU ASSHOLE / 浮かれている人 22 太平洋不知火楽団 / 太平洋不知火楽団 23 e-sound speaker / 存在の詩 24 OKAMOTO'S / 10’S 25 SuiseiNoboAz / SuiseiNoboAz 26 MO'SOME TONEBENDER / STRUGGLE 27 HiGE / サンシャイン 28 ASIAN KUNG-FU GENERATION / マジックディスク 29 Spangle Call Lilli Line / VIEW 30 相対性理論 / シンクロニシティーン 31 キセル / 凪 32 the telephones / We Love Telephones!!! 33 Turntable Films / Parables of Fe-Fum 34 サニーデイ・サービス / 本日は晴天なり 35 moools / Weather Sketch Modifid 36 4 bonjour's parties / okapi horn 37 踊ってばかりの国 / グッバイ、ガールフレンド 38 Predawn / 手のなかの鳥 39 VOLA & THE ORIENTAL MACHINE / PRINCIPLE 40 アナログフィッシュ / Life Goes On 41 bloodthirsty butchers / NO TITLE 無題 42 ハイスイノナサ / 想像と都市の子供 43 カジヒデキとリディムサウンター / TEENS FILM 44 あるぱちかぶと / ◎≠ 45 オストアンデル / ostooandell 46 Dorian / Melodies Memories 47 蔡忠浩 / たまもの from ぬばたま 48 LILLIES & REMAINS / MERU 49 MOROHA / MOROHA 50 THE SALOVERS / C’mon Dresden 次点 凛として時雨 / still a Sigure virgin? 次点 毛皮のマリーズ / 毛皮のマリーズ 次点 サカナクション / kikUUiki 次点 SEBASTIAN X / 僕らのファンタジー 次点 HOTEL MEXICO / His Jewelled Letter Box ベスト・アルバムは先日CDショップ大賞にも選ばれたandymoriの『ファンファーレと熱狂』。神聖かまってちゃんや世界の終わりといった極端な表現が話題を呼ぶ中、むしろ一見普通なものの特別さこそが大切に感じらた2010年、リバティーンズ譲りのパンキッシュな演奏とフォーキーな甘いメロディに革新性こそないものの、その言葉は相変わらず瑞々しく、プロダクションが格段に向上した本作で、バンドは第一期の頂点を確かに刻んだ。新作『革命』も楽しみ。 ソロ・アーティストでは見事復活を果たした七尾旅人を筆頭に、やけのはらとDorianの3人が一年を通して話題を提供したが、アカデミックな才女というイメージから、ポップ・フィールドへと解き放たれた世武さんの『リリー』を、その可能性も含めて評価したい。ハセケンさんの誠実な作品と、トクマルくんの一つの到達点ともいうべき作品も素晴らしかった。 00年代序盤のロックンロール~ポストパンク・リヴァイヴァルの流れを受けた洋楽志向のバンドでは、TBAとQUATTROが傑作を発表し、the telephonesも先駆者の意地が感じられる力作を発表、またTurntable Filmsのような新顔も話題を呼ぶなど、確かな成果を残した一年となった。とはいえ、評論の土壌において彼らのようなバンドは「洋楽のマネ」と軽視される傾向が少なからず感じられるので(もちろん、シーンの中ではしっかり評価されてはいるのだが)、そのクオリティの高さをしっかり評価していきたい。『FREE THROW』のコンピ発売、「kings」の復活に加え、早すぎたリヴァイヴァリスト?GREAT ADVENTUREの再始動と、2011年もトピックは豊富。一方、驚くべき形で海外デビューを飾ったTHE SUZANや、日本にいながらピッチフォークなどで取り上げられたHOTEL MEXICOなど、海外の目が徐々に日本に向きつつあるのも間違いなさそう。 THE BAWDIES、毛皮のマリーズ、OKAMOTO’Sを筆頭に、近年ジワジワと盛り上がりを見せていたロックンロール・バンドが目に見える形で結果を残した一年だったことも間違いない。ハンガーズの新作も良かったしね。これは00年代後半におけるライヴ重視の流れを受けつつ、エモ~ポストロックの流れで複雑化したロックの反動ともいうべきシンプリシティへの回帰であるように感じられた。凛として時雨がチャートで一位を獲得したこと、People In The Boxが音楽的なスタイルを超えた作品を完成させたことは、時代が転換点を迎えたことの象徴のよう。 東京のオルタナ・シーンではオワリカラを中心に、ボアズ、セバスチャン、太平洋らが参加した『TOKYO NEW WAVE 2010』が話題に。ライヴハウス・シーンは大いに盛り上がったが、今後はメジャーへの道を進むもの、インディペンデントで活動を続けるもの、それぞれの道を進むことになるのだろう。ちなみに、andymoriはこことの繋がりも深いんだよね。 くるり、クラムボン、モーサムといったバンドもそれぞれのペースで着実な成果を残し、その一つ下の世代であるアジカンも改めて存在感を発揮。そして、USオルタナと日本の初期エモ・シーンからの影響という背景を共有し、またその抜群のソングライティング・センスにおいてもアジカンと双璧をなす、VELTPUNCHの新作も相変わらず素晴らしかった。 あふりらんぽとミドリの解散、踊ってばかりの国やモーモールルギャバンの躍進に見る関西シーンの世代交代や、同じく関西のウリチパン郡とTHE BEACHESという独自のエキゾチシズムを日本人の表現として昇華させた素晴らしい2バンドが同時期に活動休止を発表したことも印象的だった。それぞれ、08年と09年のベストだったんだけどなあ…。いやしかし、2011年は年明けからすでに素晴らしい作品が続々とリリースされています。気づけば、これからの日本の音楽シーンを背負って立つ役者も揃ってきた気がする。2010年代も2年目、今年は何が起こるでしょう?
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