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SNOOZER#086に寄せて
以下の文章は、今から4年前の2007年7月、当時僕がやっていたホームページでSNOOZER10周年のタイミングに書いたものです。ひさびさに読み返してみて、なんか最終号とシンクロする部分もあったし、面白かったんでアップしてみます。内容は稚拙っちゃあ稚拙だし、せっかくだからデータを更新して、現在のバージョンを書くべきかなとも思ったけど、そのままの方が「この人SNOOZER好きなんだなー」って勢いがあっていいかなって思ったんで、そのまま載せときます。あと、終わった雑誌なんかに時間を取られるほどこちとら暇じゃねーし、みたいな。まあ、読んでもらえればわかるとおり、ティムとの約束が果たせなかったことだけが残念なので、雑誌の名称が変わっても、彼らがカヴァーを飾れるように、とりあえずディスクガイド買おうと思います。ハレルヤ!
僕は『SNOOZER』という音楽雑誌が好きで、その編集長である田中宗一郎さんからは結構影響を受けています。とはいえ“『SNOOZER』好きでしょ?”とか聞かれると、“まあ好きっちゃあ好きだけど、でも僕THE WHOとかLA’Sとかそこまで好きじゃないし”みたいな答え方をしてきました。“信者とかじゃないから!”って。でも、もういいや。僕『SNOOZER』好きです。だってさあ10周年記念号の表紙がASHなんだもん。それを知った時はホントうれしかった。どーせRADIOHEADなんじゃねえの?とか思ったりもしました。でもさすがに潜伏期間で契約もないバンドをいきなり表紙にはしないだろうし、タイミング的にはくるりもありだったけど、もはや新作を出せば数々の雑誌で表紙を飾ってしまうバンド、天邪鬼な『SNOOZER』としてはそこは避けたいところでしょう。となれば『SNOOZER』的には念願のASHというわけだ。でもね、要はこのASH表紙っていうのは、“俺たち、10年間色々あったけど、今でも何とかやってるよな”っていうお互いの友情の、尊敬の、歴史の確認なわけですよ。それがもうたまらないじゃん。インタビューでも話しているように、ASHは創刊号にもインタビューが載っていて、そこではこんな話をしてる。 ●ねぇ、じゃあさ、この3人で、あと10年、20年顔を突き合わせていくんだっていうことは想像できる? ティム「20年はないと思うな(笑)」 リック「まあ、10年ってとこじゃない?(笑)」 そして最新号のティムのインタビューの終わりはこう。 ●10年後も、またアルバムのインタヴューが出来るかな?(笑)。 「ああ、勿論。絶対にそうしなきゃ(笑)。でも20周年号で出来たら、すごいよね!そしたら、また僕らがカヴァーを飾るからさ(笑)」 全く微笑ましいし、でもなんか泣けてくるよね。ま、そうは言っても、実際最新号はくるりの号かな。アルバム自体の出来もそうだし、とにかくインタビューが抜群に面白い。で、タナソウさん絶賛してんのに、DISC REVIEWのページでは小野島さんやら野田さんやらが“べつに”みたいなことをそれぞれの視点で書いてるのも面白い。うん、合評なのにみんな絶賛、みたいのよりこの方が遥かに現実的だもん。でもそれでもASH表紙ってのがやっぱり泣けるんだけどね。というわけで、10周年を迎えた日本音楽雑誌界の異端児にして最高峰、『SNOOZER』の10年を個人的な思い出と共に振り返ります。 『SNOOZER』が創刊されたのは1997年。当時僕は高校3年生で、J-POP~ハードロックを卒業し、UKロックやらUSインディやらに手を出すようになった頃。とはいえまだまだ洋楽ビギナーだった僕は、『SNOOZER』の創刊号と本屋で出逢っても、田中宗一郎という元ロッキング・オンの人が遂に創刊した新雑誌、みたいな知識は全くなくて、ただただ表紙のトム・ヨークをはじめ、BECK、WEEZER、ASH、BLUR、THAT DOGといった名前に“わ、僕が好きなバンドがいっぱい載ってる!”と思って手に取ったのでした。それが気付けば10年も読んでるんだもんなー。すごいや。 ではまずこの10年間の表紙を複数回飾っているミュージシャンをランキングしてみましょう。 1 RADIOHEAD(THOM YORKE) 10 2 くるり 4 3 FATBOY SLIM 3 PRIMAL SCREAM THE VINES 4 OASIS 2 BERNERD BUTLER BEASTIE BOYS 中村一義 UNDERWORLD SUPER FURRY ANIMALS U2 ARCTIC MONKEYS うーん、非常にわかりやすく色が出てますね。SFAやバーニーが2回、ヴァインズが3回表紙を飾ってるってすごいな。あと印象的な表紙といえばグレアム(1998.8)、石野卓球(1999.6)、Richard D James(2001.10)、SUPERCAR(2005.4)、THE LA’S(2005.8)なんかが思い浮かびますね。あとt.A.T.u.(2003.4)とか。最近ではKLAXONS(2007.2)が大抜擢でしたね。“編集部がいいと思うミュージシャンだから表紙にする”というあまりに当たり前のことが、意外とできない音楽雑誌業界。このセレクトはそれだけで尊敬に値します。ま、ただなんと言ってもRADIOHEAD10回ってのがインパクト大。一時期“OASISの『rockin’on』、RADIOHEADの『SNOOZER』、BECKの『CROSS BEAT』”みたいなイメージありましたよね。今はレッチリの『CROSS BEAT』かな?まあタナソウさんだったら“OASISもBECKも俺の方がよくわかってる”とか言いそうだけど。で、この10回の表紙の半分、5回は2000年から2001年、つまりは『KID A』と『AMNESIAC』をリリースした時期で、2000年6月から2001年12月までの1年半、10冊中5冊が表紙RADIOHEADなわけ。やりすぎだよ。 またこの時期っていうのはSNOOZERが最も政治的で、最もアグレッシヴだった時期でもあって、“ドラッグと反アメリカ”(2000.4/表紙:PRIMAL SCREAM)を皮切りに、“ジュビリー2000”(2000.6/表紙:THOM YORKE)、“反ロック、反セレブりティ”(2000.12/表紙:FATBOY SLIM)、“WAR IS NOT THE ANSWER”(2001.12/表紙:RADIOHEAD)なんて特集が次々と組まれた時期でした。音楽雑誌でありながらこういった話題を大きく取り上げるのは、日本ではなかったし、未だにないと言ってもいいかもしれませんね。その他印象的な特集といえば“PUNK TO FUNK”(1999.12/表紙:BECK)、“98年の世代”(2002.4/表紙:くるり)、“ROCKN’ROLL ISSUE”(2002.6/表紙:PRIMAL SCREAM)、“iPodで音楽は変わるか?”(2003.12/表紙:V.A.)なんかが挙げられます。あとはオーディナリーズのブレストン、ジャムのポール・ウェラー、フーのピート・タウンゼントを並べた“SPIRIT OF 1979”(2004.8)、くるり表紙の“僕らがイギリスに恋する理由”(2006.2)なんかからはタナソウさんのモッズ魂が感じられるというものです。 それでは続いてこの10年間の年間ベストアルバムTOP3を振り返ってみましょう。 1997 1 RADIOHEAD/OK COMPUTER 2 中村一義/金字塔 3 SUPER FURRY ANIMALS/RADIATOR 1998 1 ELLIOTT SMITH/XO 2 FATBOY SLIM/YOU’VE COME A LONG WAY BABY! 3 R.E.M./UP 1999 1 SUPER FURRY ANIMALS/Guerilla 2 CIBO MATTO/STEREOTYPE A 3 七尾旅人/雨に撃たえば…disc2 2000 1 FUMIYA TANAKA/UNKNOWN POSSIBILITY vol.2 2 GREEN DAY/WARNING 3 MOODYMAN/FOREVERNEVERMORE 2001 1 SUPER FURRY ANIMALS/RINGS AROUND THE WORLD 2 R.E.M./Reveal 3 Slipknot/IOWA 2002 1 BECK/SEA CHANGE 2 BRIGHT EYES Lifted Or The Story Is In The Soil, Keep Your Ear To The Ground 3 THE CORAL/THE CORAL 2003 1 OUTKAST/SPEAKERBOXXX/THE LOVE BELOW 2 THE RAPTURE/ECHOES 3 THE WHITE STRIPES/ELEPHANT 2004 1 THE LIBERTINES/THE LIBERTINES 2 THE STREETS/A GRAND DON’T COME FOR FREE 3 SQUAREPUSHER/ULTRAVISITOR 2005 1 HARD-Fi/STARS OF CCTV 2 SUFJAN STEVENS/ILLINOIS 3 JUNIOR SENIOR/HEY HEY MY MY YO YO 2006 1 ARCTIC MONKEYS WHATEVER PEOPLE SAY I AM,THAT’S WHAT I’M NOT 2 BOB DYLAN/MODERN TIMES 3 KEIICHI SOKABE/LOVE CITY これまた濃い、そして主張を感じるラインナップですね。唯一2度1位に輝いているのがファーリーズ(通算3回登場)。あと複数回登場しているのは、2回のR.E.M.だけですね。ここ3年はUKの新人バンドが続けて1位を獲得しているというのも、近年のムードを反映していると言ってもいいかもしれません。 カルチャーとしての音楽という視点があること、ディスクガイド的な記事の充実、基本ロック雑誌でありながらダンスミュージックもしっかり押さえていること、ライターの質、デザインのよさなどなど、僕が『SNOOZER』を読み続けている理由はいくらでもあるけど、まあ最終的には田中宗一郎という人の魅力が何よりなんでしょうね。結局『SNOOZER』という雑誌は田中宗一郎という人の物語であって、それに乗れる人はいつまでもついていけるし、ダメな人はダメなのかも。でもその筆圧の高さといい、音楽的知識の豊富さといい、時に結構無理やりなトコなんかも含めて日本の音楽ライターとしてはアタマ一つ抜けてると客観的にも思うんだけどな。やっぱ『SNOOZER』の何が読みたいかって、田中宗一郎の文章とインタビューが読みたいんだもん。それで個人的にもASH、くるり、SUPER FURRY ANIMALS、モーサムなんかはもちろん、バーニーやIDLEWILD、MODEST MOUSEなんかもしっかりフォローしてくれるのは、やっぱり信用できるなーと思っちゃうんですよ。さすが、わかってんじゃん!って何度思ったことか。僕サブカル人しか読まないような音楽雑誌もやっぱりダメで、その点『SNOOZER』って難解になりすぎることなく、多少挑戦的に、時にメランコリックに、ユーモアとロマンをもって、しっかり音楽を語ってるし、しっかり社会を語ってるし、しっかり人を語ってるから好きだ。 最後、オチ。『SNOOZER』の10年といえば、発売日との格闘の10年である。まあそれに関しちゃ、完全に負け越しなんだけど。次の10年は勝ち越し目指して頑張ってね。
by ashadeofshyness
| 2011-06-20 02:29
| 日記
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