カテゴリ
日記インタビュー YEAR IN MUSIC ウィークリー・レコメンド コラム 以前の記事
2019年 01月2018年 01月 2017年 08月 more... フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ALBUM OF THE YEAR 2012<DOMESTIC> 総括1 くるり / 坩堝の電圧 2 きのこ帝国 / 渦になる 3 cero / My Lost City 4 People In The Box / Ave Materia 5 トクマルシューゴ / In Focus? 6 Qomolangma Tomato / カジツ 7 Turntable Films / Yellow Yesterday 8 曽我部恵一BAND / 曽我部恵一BAND 9 The SALOVERS / 珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung- 10 赤い公園 / ランドリーで漂白を 11 Klan Aileen / Astroride 12 シャムキャッツ / たからじま 13 Llama / インデペンデンス 14 andymori / 光 15 OGRE YOU ASSHOLE / 100年後 16 ハイスイノナサ / 動物の身体 17 田我流 / B級映画のように2 18 Ryo Hamamoto & The Wetland / Ryo Hamamoto & The Wetland 19 your gold,my pink / TEENAGE RIOT 20 カメラ=万年筆 / Coup D’etat 21 LAMA / Modanica 22 EVISBEATS / ひとつになるとき 23 チャットモンチー / 変身 24 group_inou / DAY 25 QUATTRO / 4 26 ZAZEN BOYS / すとーりーず 27 昆虫キッズ / こおったゆめをとかすように 28 踊ってばかりの国 / FLOWER 29 PLASTICZOOMS / STARBOW 30 中村一義 / 対音楽 31 七尾旅人 / リトルメロディ 32 Galileo Galilei / PORTAL 33 ART-SCHOOL / BABY ACID BABY 34 uminecosounds / uminecosounds 35 百々和宏 / 窓 36 Czecho No Republic / DINOSAUR 37 世武裕子 / アデュー世界戦争 38 THE NOVEMBERS / GIFT 39 OTOTOI GROUP / WE ARE 40 GOTH-TRAD / New Epoch 41 MO’SOME TONEBENDER / Strange Utopia Crazy Kitchen 42 THE CIGAVETTES / We Rolled Again 43 KETTLES / Here! 44 THA BLUE HERB / TOTAL 45 石橋英子 / Imitation Of Life 46 Wienners / UTOPIA 47 テスラは泣かない。 / High noble march 48 XINLISUPREME / 4 Bombs 49 永野亮 / はじめよう 50 禁断の多数決 / はじめにアイがあった 次点 THE MIRRAZ / 言いたいことはなくなった 次点 米津玄師 / diorama 次点 クリープハイプ / 死ぬまで一生愛されてると思ってたよ 次点 ASIAN KUNG-FU GENERATION / ランドマーク 次点 androp / one and zero 次点 plenty / plenty 次点 モーモールルギャバン / 僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ 次点 ドレスコーズ / the dresscodes 次点 ミツメ / eye 次点 fresh! / WHAT ARE YOU DOING IN THIS CONFUSION? というわけで、僕の2012年ベスト・アルバムは、くるりの『坩堝の電圧』でした。2011年のベストにアナログフィッシュの『荒野 / On the Wild Side』を選んだ時点で、「2012年は若いミュージシャンを一位にしたいなー」となんとなく思ってたんだけど、結局またキャリアのある人を一位にしちゃいました。いや、きのこ帝国もceroも十分一位に値したとは思うんだけど…てか、2012年は例年以上に力作の多い一年だったなと、並べてみて思いますね。やはり2011年という年を経て作られた、想いのこもった作品が多かったことの表れなんでしょう。年末から年始にかけてはいろんなところで、「アイドルが盛り上がって、バンドはダメだった」みたいなことを言ったり書いたりしたけど、それはまあオードリー的なやつで、「ホントに思ってたら、こんなにバンドのこと言ったり書いたりしてねえよ、エヘヘ」ってことで、別にアイドルとバンドを分けて考えることはないし、それぞれ楽しめばいいんだと思います。ただまあ、自分はバンドで育ってきたし、どっちに惹かれることが多いかって言ったらやっぱりバンドなんだよねっていう、それだけのことなんですよね。 で、改めて『坩堝の電圧』。吉田省念とファンファンを新メンバーに迎えての初作で、フレッシュなエネルギーに満ち溢れた全19曲。まあ、19曲も入ってるだけに曲調はいつも以上にバラバラで、てか、くるりのアルバムって「アルバムとしてのまとまり」みたいのはいつもそんなによくはないから、今作も「誰もが大好きなアルバム」ではないのかもしれません。ただ、文字通りのアンセムだった先行シングルの“everybody feels the same”と、初めて過去を振り返りながら、改めて「進め」と歌う“glory days”の2曲が軸にあって、あとはアルバム全体がフツフツと坩堝ってるのがこのアルバムの魅力なんだと思います。音楽的なチャレンジという意味ではひとつの頂点を極めた『ワルツを踊れ』以降、『魂のゆくえ』も『言葉にならない、笑顔を見せてくれよ』も、もちろんいいアルバムだったと思うけど、「ちょっと地味だなー」とか「降りちゃった感じするなー」という印象も否めなかっただけに、「帰還!」なイメージも強い今回のアルバムは、やっぱりちゃんと評価しておきたかったのです。 あと、震災・原発事故以降の状況に対する言及も多い作品で、これまでも常に体現し続けてきたローカルの重要性も改めて浮き彫りにした、いわば「社会の鏡としてのポップミュージック」の色が濃かったことも僕の中では重要な要素でした。てか、これが一番だったりもするかも。もちろん、今年リリースされた作品の全てに、何らかの形で震災の影響が含まれてるとは思うけど、ceroだったり、チョモだったり、ソカバンだったり、ある程度明確に、でも直接的過ぎず、あくまでポップミュージックとして自らの立場を打ち出した作品にはやっぱり強く惹かれるものがありました。で、その中でもくるりのやり方はやっぱ抜群なんだよなあ。「東電」や「相馬」といった言葉を使いながらも、それが変に強調されず、ちゃんと音楽として溶け込んでる。そういうのがいいなあと思う。 あと、もうひとつくるりを選んだ理由として、「音楽を聴く上での世代的な指針としてのくるり」っていうのを再確認したってこともあります。2012年は『SNOOZER』で言うところの「98年世代」が再起した年でもあって、中村一義は10年ぶりにソロ名義のアルバムを発表したし、向井秀徳率いるZAZEN BOYSはキャリア最長のブランクとなる4年ぶりの新作をリリースしたし、ナカコーとミキちゃんのLAMAにしても、前作はまだミキちゃんのソロ・プロジェクトの発展形っていう色が強かったから、2012年に出したセカンドこそがバンドとしてのホントの始まりだったと思うんですよね。で、今僕が「好きだなー」と思う若手のミュージシャンには、やっぱり彼らの要素をどっかしらに感じるんです。それは直接的に影響を受けてる場合もあれば、「98年世代」の色が日本の音楽シーンにすでに浸透していて、間接的に吸収してる場合もあり。なんにしろ、andymoriも、Turntable Filmsも、踊ってばかりの国も、きのこ帝国も、The SALOVERSも、やっぱり彼らなしには生まれてないと思うんですよね。 音楽には僕が生まれる以前から長い長い歴史があって、その流れを踏まえて今を見つめることはめちゃめちゃ大事なことだけど、じゃあ必ずしも50年代や60年代を基点にしないといけないかっていうと、そういうことでもないはず。やっぱり、その世代ならではの視点っていうのがあって、そこから今を見たり、さかのぼったりすることが大事で、その中心軸として、僕の中ではくるりの存在がめちゃめちゃ大きいなっていうのを再確認したんです。年末に行われた武道館での15周年記念公演でくるりの岸田さんと佐藤さん、サニーデイ、BASE BALL BEARと共演した中村一義さんに取材をさせてもらったときに、「中村さんにとってくるりってどんな存在ですか?」って聞いたら、「〈あの世代のバンド・メンバー〉って感じ。(くるりの)“ロックンロール”とか聴いてると、〈誰がどの曲書いたんだっけ?〉って、わかんなくなっちゃう」って答えてくれて、すごくジーンときたっていうのも、「世代」っていうのを改めて考えさせられた経験として大きかったかなあ。うーん、なんか書いてることが全然まとまってない気がするけど、まあ、自分のブログなんで許してください。とにかく、そんなことを思ったんです。年取ったってことでしょうか。 くるりの話題を離れて、総括的なことをちょっとだけ書くと、2012年の取材はとにかく「光と影(闇)」って話をすることが多かった。震災以降の空気の中で聴く人にとっての「光」となるような作品を作りたいってことだったり、一方で「光と影(闇)」っていうのは分けて考えることはできないんだってことだったり。特に後者の話をすることが多くて、要はインターネットによって今まで知らなかったことを知ることができるようになって、さらには震災・原発事故で今まで目を背けてきたことも見つめざるを得なくなったと、そんな中で、今はむしろ「光」より「影(闇)」を見つめる方が大事で、それが結果的には「光」につながるんじゃないかっていうような話をよくしました。具体的なアーティストで言えば、「影(闇)」の存在を十分理解しながらも、「光」という1テーマでアルバムを作り上げたandymoriの瞬発力の高さはやっぱりすごいなと思ったし、一方の「影(闇)」の話だと、「光は視界の中でしかないけど、闇は目をつぶったときに頭の中に現れるもので、それって無限に広がってるから、そっちに可能性を感じる」っていうピープルの波多野くんの言葉が名言だなーと思いました。もちろん、こういう話ってずっと前から議論されてる話ではあって、いつも思い出すのは宇多田ヒカルの“誰かの願いが叶うころ”なんすよね。2004年にリリースされたあの曲の〈誰かの願いが叶うころ あの子が泣いてるよ〉ってあのシンプルな歌詞とメロは、「光と影(闇)」っていうテーマを一行でバシッと示してるわけで。やっぱすげえなあ、ヒッキー。そりゃ、“桜流し”も売れるわなあ。 でね、このテーマを2013年に押し広げる一曲が、アナログフィッシュが2012年にYouTubeで発表して、3月に出る新作『Newclear』に収録される“City of Symphony”だと思うんですよ。どっちかっていうと、その前に発表した“抱きしめて”の方が話題になってるけど、この曲で歌われる「レイヤー」っていうのは、『荒野 / On the Wild Side』収録の“HYBRID”で示した「光と影(闇)」の問題のその先を示していて、無数の光と影がレイヤーを織り成すこの社会の中で、そのひとつひとつを丁寧に紐解いて行くことで、きっとクリアな新しい視点を獲得することができるはずだっていう、そういう曲だと思うんですよね。だからねー、『Newclear』は相当楽しみなんだけど、とか言ってると2013年のベストもアナログフィッシュにしちゃいそうだから、今年こそ若手をベストにしたいな。きのこ帝国の新作はすでにめっちゃよかったけど、でももっと新顔も出てきてほしい。少しずつ活発になってきてる日本人の海外進出とかも気になるし、2013年もワクワクしながら音楽に接していけるといいなあ。 長文乱文失礼しました!
by ashadeofshyness
| 2013-01-29 00:10
| YEAR IN MUSIC
|