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ALBUM OF THE YEAR 2014<DOMESTIC>1 Koji Nakamura / Masterpeace 2 くるり / THE PIER 3 石橋英子 / car and freezer 4 APOGEE / OUT OF BLUE 5 踊ってばかりの国 / 踊ってばかりの国 6 OGRE YOU ASSHOLE / ペーパークラフト 7 THE MIRRAZ / OPPORTUNITY 8 吉田ヨウヘイgroup / Smart Citizen 9 森は生きている / グッドナイト 10 bonobos / HYPER FOLK 11 Wienners / DIAMOND 12 Emerald / Nostalgical Parade 13 アナログフィッシュ / 最近のぼくら 14 Czecho No Republic / MANTLE 15 きのこ帝国 / フェイクワールドワンダーランド 16 シャムキャッツ / AFTER HOURS 17 THE NOVEMBERS / Rhapsody in beauty 18 赤い公園 / 猛烈リトミック 19 People In The Box / Wall,Window 20 坂本慎太郎 / ナマで踊ろう 21 ゲスの極み乙女。 / 魅力がすごいよ 22 SOUL FLOWER UNION / UNDERGROUND RAILROAD 23 モールス / 劈開 24 Homecomings / Somehow,Somewhere 25 米津玄師 / YANKEE 26 TAMTAM / Strange Tomorrow 27 蓮沼執太フィル / 時が奏でる 28 ROTH BART BARON / ロットバルトバロンの氷河期 29 tofubeats / First Album 30 キセル / 明るい幻 31 Shiggy Jr. / LISTEN TO THE MUSIC 32 Reliq / Metatropics 33 KIRINJI / 11 34 the telephones / SUPER HIGH TENSION!!! 35 Base Ball Bear / 二十九歳 36 内村イタル & musasaviband / 内村イタル & musasaviband 37 Gotch / Can’t Be Forever Young 38 ミツメ / ささやき 39 王舟 / Wang 40 テスラは泣かない。 / TESLA doesn’t know how to cry 41 ART-SCHOOL / YOU 42 Yogee New Waves / Paraiso 43 ヒトリエ / WONDER and WONDER 44 昆虫キッズ / BLUE GHOST 45 tobaccojuice / 一輪の花と二つの三日月 46 avengers in sci-fi / Unknown Tokyo Blues 47 canooooopy / 百夜を繋ぐ言の千切れ葉 48 撃鉄 / NO UNDERGROUND 49 ボールズ / スポットライト 50 New House / Kaleidoscopic Anima 次点 銀杏BOYZ / 光の中に立っていてね 次点 THE BAWDIES / Boys! 次点 OKAMOTO’S / Let It V 次点 ドレスコーズ / 1 次点 Syrup16g / Hurt 次点 KUDANZ / 何処か長閑な 次点 パスピエ / 幕の内ISM 次点 FOLKS / NEWTOWN 次点 febb / The Season 次点 taiko super kicks / 霊感 僕らはパラレルワールドを生きている というわけで、2014年のベストアルバムにはKoji Nakamuraの『Masterpeace』を選びました。誰もがネットで作品を発表できる「個」の時代において、そのラジカルな視点とポップミュージックの作り手としての才覚を爆発させた、『HIGHVISION』以来の大傑作だと言っていいと思います。まあ、音楽メディアが選ぶ総合一位はくるりの『THE PIER』だった気はして、個人的にも一位にして全然よかったのですが、そこはちょっとした天邪鬼気質が働いたということで。何にしろ、かつての岸田繁いわく「アムロとシャア」の関係であり、「98年の世代」(by『SNOOZER』)であるこの二組が、「Live the life you love until we meet again」な感じで再び巡り合い、2014年という年に双方のキャリアにおいても屈指の傑作をリリースしたという事実には、何とも感慨深いものがあります(実際に、年末に出たくるりのシングルにナカコーがミックスで参加して、「we meet again」してるし)。昨年は赤い公園とtofubeatsを一位と二位にしましたが、2014年はもう少し上の世代が底力を発揮した年だったように思います。 ナカコーさんとくるり、両者の作品に共通しているのは、インターネットで様々な音楽を聴くことができるようになった現代をどう捉え、どのように取捨選択し、その上でオリジナリティの高いポップミュージックを作るかという命題に対し、非常に高いレベルで回答していたということ。そして、様々な国や年代の音楽性が混在する『THE PIER』からは、「パラレルワールド」というキーワードが浮かび上がってきましたが、この言葉は結果的に様々な意味で2014年を象徴する言葉になったように思います。一昨年に2020年の東京オリンピック開催が決定し、『AKIRA』の世界とリンクしたという話が象徴的なように、今僕らはパラレルワールドの世界を、SFの世界を生きているのかもしれない。それは「原発事故以降の世界」という社会的なトピックや、電車に乗れば誰もが四角い画面を見つめているという日常の光景からも感じられるもの。アニメや漫画、ゲームもそういった「もうひとつの世界」を提示する作品が多く、音楽作品も例外ではなかったわけです。直接的に「パラレルワールド」を作品のキーワードとしていたTHE NOVEMBERS、「SF化する現実のための曲集」をテーマとしたReliqをはじめ、坂本慎太郎やOGRE YOU ASSHOLE、avengers in sci-fiやTAMTAMの作品からも、こうしたムードが感じ取れました。2015年も引き続き、この手の作品は増えそう。 その他、上位に挙げた作品について簡単に触れていくと、石橋英子さんの『car and freezer』は赤い公園が10年後に作るべき先鋭性と普遍性を兼ね備えたポップスの傑作で、日本語盤と英語盤の2枚組という形態もすごい(そして、ジム・オルークの新作はまたしても出なかった…)。APOGEEの復活作は見事にチルウェイヴ~インディR&Bの流れとリンクし、来年以降より評価されるべき作品。踊ってばかりの国のセルフタイトル作は、SOUL FLOWER UNIONと並ぶ2014年随一のカウンターミュージックで、後輩のHAPPYがまだ持っていない強いカリスマ性を改めて感じさせました。オウガはフィッシュマンズやゆらゆら帝国にも肩を並べるレフトフィールドのポジションを確立させ、ミイラズはandymori解散後の今この国で一番かっこいいロックンロールバンドに(もっと評価されなきゃおかしい)。吉田ヨウヘイgroupと森は生きているは東京インディの先端で切磋琢磨し、bonobosは実はSAKEROCK~トクマルシューゴ~ceroという流れに寄り添うポジションにいたということを、チェンバーポップとスカやレゲエが共存した作品で証明してみせました(なので、このバンドももっと評価されなきゃおかしい)。 それにしても、2010年代前半の最後の年ということが関係しているのかはわかりませんが、2014年はいろんな意味で区切りの年になったように思います。「98年の世代」で言えば、くるりとスーパーカーに並ぶ顔役の中村一義が、初めて地元の江戸川でライブを行い、リアル「僕の人生はバラ色に変わった―!」を披露。また、99年前後にデビューした下北沢発のギターロックバンドにしても、バンプが15周年で、ストレイテナーやACIDMANもアルバムを出し、Syrup16gやBURGER NUDSが復活した一方で、ART-SCHOOLはゴッチも参加したアルバムを発表後、年末に活動休止を発表しました。また、9mmがベスト盤を発表し、年末に時雨と対バン、そして年明けには時雨がベスト盤を発表というのも区切り感があるし、かつて『version 21.1』というイベントを主催したサカナクション、the telephones、OGRE YOU ASSHOLEもそれぞれの道を行き、その最終回にTHE BAWDIESや9mmと共に参加したandymoriは解散。さらに下の世代でも、ゲスの極み乙女。のブレイクと赤い公園のレコード大賞受賞から、ひとつの区切りを感じました。 そして、これ以上に明確な円環を感じさせたのが、いわゆる「東京インディ」のシーン。「cero以降」というタームも明確になる中、2014年は前述した森は生きているや吉田ヨウヘイgroup、ROTH BART BARONなどがアルバムを発表し、岡田拓郎はすっかりシーンのキーパーソンとなりました。では、この流れの起源はそもそもどこなのかと改めて考えると、USインディとの接点が強く、リスナー気質の強いポップスの作り手であることなど、それはデビュー作『NIGHT PIECE』のリリースから10周年を迎えたトクマルシューゴであったと言えるでしょう。そのトクマル主催の「トノフォンフェス」で知名度を高め、バンドメンバーも一部重複する王舟が今年遂に正式な音源を発表し、『NIGHT PIECE』に衝撃を受けて宅録を始めたNohtenkigengoもアルバムをリリースしたことからは(ライブには岡田拓郎も参加)、やはり明確な円環が感じられたのでした。 では、2015年はどうなって行くのかを考えると、この「東京インディ」によって形成されたシティポップの再評価をひとつの背景とし、ブラックミュージックをベースとしたポップスがよりオーバーグラウンド化することは間違いなさそうです。シティポップとはつまりブラックミュージックを日本のポップスとして再解釈する動きであり、その第一人者である山下達郎は、今やすっかり20代の若いミュージシャンにとってもカリスマに。さらにはそこから何度目かの渋谷系リバイバル的な空気が生まれ、中でも現代が中田ヤスタカの時代であることを考えれば、CAPSULEやCymbals、Plus-Tech Squeeze Boxといった、ポスト渋谷系の影響がますます大きくなって行きそう。ここに海外におけるディスコやファンクのリバイバル、チルウェイブからインディR&Bへの流れ、さらには「グラスパー以降」の新しいジャズも合流し、日本ならではの特殊な状況が生まれてきていると。そして、これが結果的にフェスで重宝される高速の四つ打ちに対するカウンターとしても機能することになりそう。このあたりは、別で書いた記事も読んでみてください。 「4つ打ち」の次にくる邦楽バンドシーンのトレンドとは? サカナクションとゲスの極み乙女。に見る「フェス中心」という価値観からの転換 ともかく、2014年が区切りの年であったならば、2015年は明確な地殻変動の年となることは間違いなく、年末から年始にかけて相次いでいるバンドの活動休止は、この変化を如実に物語っているように思います。もちろん、この時期にバンドが岐路を迎えるのは毎年のことだし、バンドにはそれぞれの事情があって、それをひとまとまりで考えることはできないのですが、それでもやはり、変化は確実に起こっています。しかし、言うまでもなく終わりは始まり。パラレルワールドでは、きっともう次の動きが始まっています。僕らはそれを自らの手で編み直し、自分の道を歩める時代に生きているのです。
by ashadeofshyness
| 2015-01-18 16:24
| YEAR IN MUSIC
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