音楽ライター・金子厚武のブログ
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真空メロウ インタビュー

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7月にTwitterで突然の再結成を発表し、11/3のshimokita round upで6年ぶりのライブを行う真空メロウの忌井三弦くんにインタビューをしてきました。再結成の経緯、「中途半端」というテーマ、ソロとしての最新作『kamiyoshine.ep』と震災との関係、今後についてなど、色々なことを話してくれています。まずは、じっくり読んでみてください。おかえり、真空メロウ!


―傍から見ると急な再結成に見えたんだけど、実際本人としてはいつ頃から再結成を考えてたの?

忌井:まあ、なんちゅうか…今年になったときとかはもう一回やるとか全然考えてなかった。けれども…流れで(笑)。でもひとたびやろうと思ったら、2人に聞く前から「やるな」って予感はあって。だから、実際に2人に会ったときもやるからやらないかの相談っていうんじゃなくて、「やろうね」っていうためだけに会ったっていうか。

―その日はどんな雰囲気だったの?

忌井:みんな性格的にベラベラしゃべる感じでもないから、そんな話を誰も切り出さず、普通に共通の知り合いの近況などを語り、各々の近況を語り、で、終電が近づいてきたんで僕が二件目に引っ張っていって、「あの件なんですけど…」みたいな(笑)。

―そこですんなり決まったんだ。

忌井:正直その頃僕頭おかしい感じやったと思う。神のお告げを受けたじゃないけど、第6感がスパークしてるような感じで。予知じゃないけど…普通に、このまま死んじゃ嫌だなって(笑)。

―ソロ活動の継続は?

忌井:ソロでやることはもう全部やったって急に思っちゃった。何も成し遂げてはないけど…『kamiyoshine.ep』を作ったときに、あれホントにやったらあかんやり方で、やる前からできるってわかってて…頭おかしくなってるから(笑)。構成も歌詞も何もなく、赤いボタンぽちっと押して目をつぶってギター弾いて、パッと時計見て4~5分過ぎてたらやめて、それを聴きながら3~4回歌ったら、勝手に構成ができてるんだよね。やる前から全部わかってたっていうか…って、過去のことみたいにしゃべってるけど、今もそういう感覚(笑)。

―バンド再開することもわかってたような感覚?

忌井:そう、今ちょうど来年のライブどうしようかと思っていろいろやってるんだけど、やっぱそんな上手くいかねえよなって思うこともあるけど、でも上手く、勝手にことが進んでたりもして…翻弄はされてるけど(笑)。

―ずっと形にしたいって言ってた『天竺と馬脚』が形になったことも大きかった?

忌井:たまたまああいう形で録れたから(*『天竺と馬脚』は第3者が録音していたライブ音源がそのまま使われている)、まとめておこうってだけだったんだけど、あれ僕結構気に入ってて。

―意図せずにできたものだからこそ、今の忌井くんにはしっくり来たのかもね。「やっぱこうなるんだな」っていう。

忌井:そうそう、「こうなっちゃった」って。そうなると、ギターぽろんぽろんいい曲とか、いい時間、いい空間を生むとか、そういうことに興味が持てないというか、もっとでかい爆発みたいなことじゃないと、僕の狭い世界で踏ん張るためには「音小せえ」っていう。「いい曲とか知らねえ」みたいな(笑)。

―うーん、もうちょっと補足してくれない?

忌井:偶然の産物に捉われてその道を行くと、ホント廃人になるような気がして。外の対象物に対して踏ん張る、戦うでもいいけど、そのためには音小せえのやだなって。

―つまりは『kamiyoshine.ep』を作っちゃったことが…

忌井:そうそう、あれホント、僕にはすごく…ショックでした(笑)。

―「俺これ作っちゃったか…」っていう。

忌井:「俺が死ねか」って(笑)。それは笑えんかったね。でも、そう思いながらも、それを俯瞰してる自分もいて、「『kamiyoshine.ep』、かっこええやん」って思ってもいるから…厄介(笑)。その俯瞰する自分がおらんかったらホンマに廃人コースやけど、かといって…中途半端っていうのがテーマなんですけど。

―ん?どういうこと?

忌井:病めもせず、かといって楽しめもせずっていうか…きっとそういう人がたくさんおるはずやと思ってて、そういう人たちの世界っていうのが、本とか映画とかから零れ落ちてて、誰も掬い取ってあげられてないような危惧みたいなものを感じていて。例えば、「北の国から」とかめっちゃ暗いんだよね。あと向田邦子とか、人間の影みたいな。今も暗い映画とか本は多いけど、それってただのシチュエーションっていうか、即効的なやつで。見てる側の多数もそれを見つめる集中力とか忍耐力がなくなってきてて、即効性のあるものじゃないと反応できない。黒澤明とかでも、面白いやつはエンタテイメントだけど、暗いやつホント暗いからね。

―黒と白で割り切れない、グレイの部分、それもちょっと影の濃いあたりを描くってことだ。

忌井:そうそう、そこはグラデーションがあるはずで、そういう意味での中途半端。今はホント黒か白じゃないとみんな反応できなくて、作る方も悪いと思うけど、受け取る方も…でもそれってよりきついことだと思ってて。白黒はっきりしてる人見ると、すげえきついんだろうなって、逆に見てて怖いことがある。

―6年前に解散を決めたときっていうのは、そのバランスが上手く取れなくなってたってことなのかな?

忌井:いや、今話したレベルからいくと、それは関係ない。普通にあのときは自分がやってる音楽が全然かっこいいと思えなくて、これからこのバンドでかっこいい音楽ができるとも思えないっていう、一般的なやつだった。あの頃からすると、ホントまた今みたいな感じになるなんて想像してなくて、どんどん丸くなって、錆びていくって思ってたから、そこに嘘ついてやるほどバンドも音楽も好きじゃないし、そしたら「もうやめよう」って。だって、今井三弦になったときの最初の“はじまりの音”とか、すっげえぬるいぜ(笑)。あそこから『kamiyoshine.ep』に行くからね(笑)。

―6年間ソロで自分と向き合った結果、また戻ってきたわけだ。

忌井:いや、そもそも自分と向き合ってやるのが音楽って思ってなくて、生きてるのにくっついてるもんだから。イボじゃないけど(笑)。

―でも、少なくとも一度はバンドに対して「違う」って思ったわけじゃん?それがまた「やろう」ってなったのは、ソロ活動をやってきたからこそなんじゃない?

忌井:ソロでやってたって言っても、ほとんどライブもやってないし、ギターもあんまり触ってないし…サムシングやから、音楽は。でもまあ…この話はあれやけど、やっぱ地震がね、自分では上手く反応できなくて、よくわかんないつもりでいたけど、振り返れば明らかに何かが変わってしまったっていう。みんなそうかもしれないし、そうゆう風に話しちゃうとつまんないけど…

―まあ、地震のことは聞こうと思ってたけどね。再結成に直接的に結びつかなくても、思うところは何かしらあっただろうから。

忌井:おかしくなっちゃったんだよね(笑)。直後とか全然普通で、冷たい気持ちでいただけなんだけど、でも、ボディーブローのように、5月くらいから怪しくなってきて。

―それが『kamiyoshine.ep』につながっていくと。

忌井:やっぱ日本にはおらんのやなって思って、「死ね」っていう対象としての神が。キリスト教圏だったら、何かあったら神が出てくる。戦争でも、災害でも、「God bless you」って、便利屋みたいに。そうゆう便利屋を日本は持ってないんだなっていうか、日本はある意味生真面目だし、正直だよね。首相が東電行ってブチ切れるとかさ、アメリカとかだったら、外面は涼しく、便利屋使ってしのぐ、国民もそれを持ってるから、酔える。神に慰められるっていう…僕のすごい偏ったものの見方だけど(笑)。

―スケープゴートって絶対悪のように思われがちだけど、それも使いようじゃんっていう。

忌井:いい悪いじゃなくて、客観的に違いがあるってだけなんだけど、僕が何を思ったかっていったら…今こそ神の出番やって(笑)。全く非行動派の、「あいつのせいにしようぜ」っていう。すごいみんな、あの瞬間リアリストになったでしょ?

―ボランティアでも節電でも、程度の差はあれども、「自分には何ができるか?」っていう方向に考えたよね。

忌井:素晴らしいことだよね。でも、そこに心が動かなかった。自分ほど冷たい人間はいないんじゃないかって。

―でもそれもやっぱり程度の差こそあれ、多くの人が思ったことのひとつだと思う。僕もそう思った一人だし。

忌井:それで「ケッ」って言えるんだったらまだ救いがあんねん。ポップさがある。「バカが」って言えれば。

―でも、「あっちの方が正しいと思いつつ、できてない俺」ってなっちゃう。

忌井:そうそう、定番だけど、ガッツリえぐられるよね(笑)。

―とにかく、そういう人は間違いなくいっぱいいたよ。

忌井:それ、戻ったでしょ?そこがテーマなんです。中途半端。

―なるほどね。結構話が遠くまで来ちゃったから、今話してもらったことを改めて再結成の話に寄せようか。

忌井:だから、普通に追い詰められたよね。「バンドやらな」って。結局バンドやってソロやってバンドもう一回やるっていうことに自分の意志とかはあんまりなくて、大きな流れがあってそれに委ねてるだけ(笑)。自分でそこで「ああ、そうなんや」って気づくっていうのが面白い。

―切り替えるんじゃなくて、延長線上?

忌井:うん、全部つながってる。予感がして、そうなるっていう(笑)。「こうしたい、ああしたい」とかは全然ない。

―じゃあ、実際には11/3のshimokita round upが再結成ライブになるわけだけど、曲とかってどうなるの?SoundCloudには既発曲(“花まみれ”)と新曲のデモ(“まるい星”)があがってるけど。

忌井:round upは昔の曲中心。昔の曲は若いときに作ってるけど、今とずれるどころか…そこを極太ペンでなぞるような(笑)。普通はそのとき作った曲と今の気分は違うから歌えないとかあるかもしれないけど、あのときは背伸びでやってたことが、ホンマにそうやんけっていう(笑)。

―今の自分にがっちりフィットしちゃってるんだ。

忌井:そう、だから全部とは言わんけど、一つの歌詞であったりとか、入り込む気持ちはより強くなっちゃってて。昔聴いて「はいはい」って思った人もおるかもしれんけど、ぜひ今見てほしいね。若いときはポーズの部分が多分にあったろうけど、それがもうポーズじゃなくなっちゃったっていう(笑)。

―新曲とかってどうなりそうなの?

忌井:昔みたいな曲はもう作れんし、作りたい曲は他にあるし、実際僕全然…怠け者だけは超一流で(笑)。

―バンド始めたからすげえギター弾いてるってわけでもない?

忌井:ないけど、その代わり、触れば曲は何曲でもできる。

―ソロでやってた曲をバンドでやるとかは?

忌井:それはない。バンドならバンドで、ソロならソロでできること、ノー・チョイス。バンドのメンバー変わったら僕作る曲絶対変わるもん。

―昔からよく言ってるよね、周りに影響されやすいって。

忌井:そうそう、このメンバーでやるんやったらこうかなって、だから曲はなんぼでもできる…って強がっとかな(笑)。

―単純に、昔と比べてどうなりそうとかってある?

忌井:まあでも、歌よね。歌の比重は大きくしたいなって。あの…すごいネガティヴ・キャンペーンになっちゃうけど、さっきから音楽好きじゃないって言ってるのはなんでかっていうと、3人ともセンスで音楽やるタイプでは全然ないのね。センスがあれば方向性も定まってくるかもしれないけど、センスがないっていうセンス…甘えか(笑)。

―センスって一言で言っても難しいよね。僕から見れば忌井くんセンスあると思うけど。

忌井:僕の中のセンスはアナログフィッシュ。あと、andymoriとか。

―うーん、わかるようなわからんような。

忌井:センスがないっていう自覚は、要するに…カニなんよ。

―ごめん、わかんない(笑)。

忌井:サービストークのようでホントのこと言ってるけど、カニなんよ。骨がないのよ、でも強がるっちゅうか、外は殻っていう。センスある人はナイフとかで切ったら血がビュッてなるけど、カニは殻がピシってなるだけ。身は詰まってるけど…だから、タコとかイカじゃない。タコとかイカほどのんべんだらりんとした気持じゃいられないっていうか…

―太い骨とか濃い血はないけど、それまで蓄えた身は詰まっていて、そこで勝負するってことかな?

忌井:その悲しさだよね。それを硬い殻で包んでる悲しさ。骨もないのに、血も流れてないのに。でも、それが音楽のすごいとこだなって意味で、僕は音楽が大好き。「なんて音楽って懐深いんだろう」って(笑)。

―スポーツだったら骨も血もないやつは相手にしてもらえないもんね。

忌井:そうだよ、そこでも鳴る音楽。どんだけ懐深いっちゅうか、「なんで鳴るんだろう?」っていう。

―カニなのに(笑)。

忌井:(ソロになって)その殻もなくなっちゃって、「寒い寒い」ってなって、殻を被った。

―それヤドカリじゃない?

忌井:ヤドカリやったらそれはルーティンやん?

―ああ、そっか。カニが殻をなくしちゃうのは大ごとだね。

忌井:それぐらいおかしかったんだって(笑)。元々一人預言者気分でいる中で、自分が崩れていく予感するなって思ったら…人間ってそういうもんだからね。一瞬で…さみしい人はいっぱいいると思う。

―じゃあ、バンド始めて少し落ち着いた?

忌井:今は別のやばさよね。

―躁的なこと?

忌井:そうそう、ブレーキかけないけんなって思いながらも、でもこの躁を止めたら面白くないなって、上から声が聴こえてて(笑)。

―客観視してる自分が(笑)。

忌井:それがいいことなのか悪いことなのかわかんないけど。

―でも、一人で続けるよりは良かったんじゃない?

忌井:一個言いたいのは、一人でやってるって言うけど、やってないからね(笑)。客観的には一人でやってたってことになってるけど、別に…鳴ってるだけで。ホンマなんか…意志薄弱よ(笑)。

―このインタビューが復帰第一声なのに(笑)。

忌井:いや、でも平たく言うと運命とかになっちゃうけど、もっと委ねちゃえば面白いのになってこと。自分で切り開く面白さもあると思うけど、僕は流れるプールで、同じところをぐるぐる回りながら…沈んでいく(笑)。

―まあでもさ、最初にTwitterで再結成するって呟いたときに結構なリアクションあったわけじゃん?ああゆうの見ると思うところはあったんじゃない?

忌井:完全に勘違いするよね。「人気あるやん」って。ないのに(笑)。だって6年だよ?そんな上手い話ないのに。

―もちろんTwitterっていう場所はちょっと特殊だけど、でもそれだけ思い入れがある人がいっぱいいるってことは事実だと思うよ。

忌井:少数精鋭かわからんけど…すごい嬉しい。無難に(笑)。

―オッケー。じゃあ、最後にそんな少数精鋭のみなさんに向ける意味でも、復帰第一声の締めをお願いしようかな。

忌井:なんちゅうか…一回解散したバンドなので…二度は死ねないんで、ゾンビの気分で…でも死は待ってて、そこでどうゆう歩き方ができるかなっていうのを、少ない人たちかもわからんけど、見てほしいなって思ってます。

―…形式的に振ると途端に硬くなるよね(笑)。

忌井:だって俺…策士やもん(笑)。


2011/10/19 下北沢・風知空知にて
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by ashadeofshyness | 2011-10-29 00:19 | インタビュー